セレブロ認知症ラボ

~ 認知症は予防できる?ー研究者が語る認知症 ~

セレブロ認知症ラボ

~ 認知症は予防できる?ー研究者が語る認知症 ~

論文解説

Mamaki、ハワイ原産ハーブ「Mamaki」の驚くべき可能性 第二部:科学的検証:Mamakiの「広域スペクトル防御」と製剤の秘密

II.A. 4種の認知症モデルに対する包括的な防御効果

研究はまず、Mamaki葉の熱水抽出物が持つ、認知症に対する広範な防御能力を評価しました。原因となる毒性タンパク質がそれぞれ異なる4つのマウスモデル(ADモデルのAPP23マウス、FTD-tauモデルのTau784マウス、DLBモデルのHua-Syn(A53T)マウス、FTD-TDPモデルのC9-500マウス)が使用されました 1。これは、認知症が単一の疾患ではなく、複数の病理が絡み合うことが多いという臨床的な現実に即した評価です。

その結果、葉の熱水抽出物を1か月間経口投与したところ、すべてのモデルマウスにおいて記憶力が有意に改善し、多くの場合、健常な同腹仔に近いレベルまで回復しました 1

病理学的レベルでも、Mamakiの広域スペクトルな作用が証明されました。

  • 毒性タンパク質の軽減: ADモデルではアミロイド沈着とAβオリゴマーが、DLBモデルではリン酸化α-シヌクレインとオリゴマーが、FTD-tauモデルではリン酸化タウとタウオリゴマーが、そしてFTD-TDPモデルではRNA G-四重鎖、RAN翻訳による反復ペプチドDPRs、リン酸化TDP-43といった病理が、それぞれ有意に減少しました 1
  • シナプスの回復: 神経細胞間の接続を示すシナプスマーカー(シナプトフィジン)のレベルが、全てのモデルで有意に回復しました 1
  • 脳炎症の抑制: 脳内の炎症の指標であるミクログリアの活性化も、海馬および大脳皮質において有意に抑制されました 1

この発見は極めて重要です。認知症がしばしば複数の病理タンパク質の混合によって引き起こされることを考えると、Mamakiが主要な病因タンパク質(Aβ、タウ、α-シヌクレイン、TDP-43)全てに作用しうる「広域スペクトル」能力を持つことは、長期的な予防戦略において比類のない利点となります。単一標的の医薬品では困難な、混合病理に対する包括的な防御が可能であることを示しています。

Table 1: Mamaki葉熱水抽出物の広範囲な効果(マウス認知症モデルにおける改善結果)

認知症モデル病理学的ターゲット認知機能の改善主な病理学的効果出典
AD (APP23)Aβオリゴマー, アミロイド沈着有意に改善病理レベルの有意な軽減, シナプス回復, ミクログリア活性化抑制1
FTD-tau (Tau784)リン酸化タウ, タウオリゴマー有意に改善病理レベルの有意な軽減, シナプス回復, ミクログリア活性化抑制1
DLB (Hua-Syn)リン酸化α-シヌクレイン, α-シヌクレインオリゴマー有意に改善病理レベルの有意な軽減, シナプス回復, ミクログリア活性化抑制1
FTD-TDP (C9-500)リン酸化TDP-43, RNA G-四重鎖, DPRs有意に改善病理レベルの有意な軽減, シナプス回復, ミクログリア活性化抑制1

II.B. 決定的な違い:お茶 vs. 全粉末の比較

次に、Mamakiを「お茶」として飲む従来の摂取方法と、「丸ごと」摂取する方法とで、予防効果に差があるかどうかが比較されました。有効性を明確に比較するため、比較的低用量を設定し、FTD-tauモデルマウスに3種類の製剤(葉の熱水抽出物、葉の単純破砕粉末、果実の単純破砕粉末)を投与しました 1

結果は、製剤間で効果に明確な序列があることを示しました。葉の熱水抽出物(エキス)は改善効果が見られたものの不完全なレベルに留まりました。対照的に、葉の単純破砕粉末は記憶力を健常マウスと同等レベルまで有意に改善しました 1。そして、最も強い効果を示したのは果実の単純破砕粉末であり、病気のモデルマウスの記憶力を、健常な対照マウスよりもさらに高いレベルにまで顕著に向上させました 1

病理学的分析においても、この序列は裏付けられました。リン酸化タウの減少、タウオリゴマーの減少、およびシナプトフィジンレベルの回復において、果実粉末が最も高い効果を発揮し、熱水抽出物は最も弱い効果しか示しませんでした 1

この結果は、摂取方法に関する重要な実用的な示唆を与えます。Mamakiは通常、葉を煎じたお茶として飲用されますが、熱水抽出の過程で、熱に弱い機能性成分や揮発性物質が失われる可能性、あるいは水に溶けない機能性成分(例:食物繊維)が茶葉の残渣として捨てられてしまう可能性があります 1。一方で、単純破砕粉末は葉や果実の成分を「丸ごと」摂取するため、抽出物よりも高い有効性を示すことになります。特に果実粉末の驚くべき効果は、認知症予防の目的でMamakiを摂取する場合、伝統的なお茶よりも非抽出の全粉末で摂取することが推奨されることを示しています。

Table 2: 製剤別有効性の比較と果実粉末の優位性 (Tau784 FTD-tauマウスにおける低用量での結果)

Mamaki製剤調製方法記憶改善効果 (30 μg/日)病理学的な相対的有効性出典
葉の熱水抽出物伝統的なお茶(抽出物)不完全/軽微な改善最も低い1
葉の単純破砕粉末全葉(非抽出)健常レベルに匹敵する改善中程度の効果1
果実の単純破砕粉末全果実(非抽出)健常マウスを上回る顕著な向上最も高い(最強の効果)1