脳の老化と神経変性疾患を予防する「酸棗仁」の力 第一部:脳の老化と神経変性疾患を予防する「酸棗仁」の力
年を重ねるにつれて、私たちの脳は自然と老化していきます。その中で、認知症やパーキンソン病といった神経変性疾患は、脳に異常なタンパク質が蓄積することで引き起こされる病気として知られています。アルツハイマー病ではアミロイドベータ(Aβ)やタウ、パーキンソン病ではα(アルファ)シヌクレインというタンパク質が原因となります。これらのタンパク質が脳内で毒性を持つオリゴマーや線維に凝集すると、シナプスの機能が失われ、神経細胞がダメージを受け、最終的には認知機能や運動機能の低下につながります。

こうした病気に対する現在の主流の治療法(抗体)は、高価で副作用が強く、病院での点滴治療が必要となるなど、長期的な予防には向いていないという課題があります。そこで、研究者たちは、より安全で安価に、そして非侵襲的に摂取できる、予防効果の高い食品を探していました。その候補として注目されたのが、古くから漢方薬として使用されてきた酸棗仁(Zizyphi spinosi semen、以下ZSS)です。酸棗仁は、日本では医薬品ではなく非医薬品として扱うことが可能なため、日常的な摂取に適していると考えられました。
本研究では、酸棗仁が神経変性疾患や脳の老化に対してどのような効果を持つかを、マウスモデルを用いて検証しました。特に、漢方薬で一般的に使われる煎じ液(熱水抽出物)だけでなく、粉砕しただけのシンプルクラッシュパウダー(単純破砕粉末)や、抽出後の残りかす(抽出残渣)についても比較しています。過去の研究から、熱水抽出の過程で揮発性成分が失われたり、熱に弱い成分が分解されたりするおそれがあり、抽出をしない方が良い効果が得られるという可能性があったからです。
